便秘、冷え症、そして腰痛を水の秘められた力で改善する【藤田紘一郎先生の水で健やかVOL.19】

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近年、寿命と腸の関係がますますクローズアップされています。私も腸の研究、特に腸内細菌の研究を長年にわたりいたしております。水と同様に腸、腸内細菌の奥の深さは人の生命を左右するだけあり、大変に神秘であることに驚かされています。腸はもともと栄養や水分を吸収し、老廃物を排出する重要な内臓器官とだけ見られていました。しかし、世界的に研究が重ねられた結果、そのほかにも多くの重要な働きをしていることがわかってきています。

その腸のさまざまな働きについては、私の数多くの「腸」の著作本を読んでいただければ、幸いです。
今日は、「腸と便秘と水」また、「腰痛改善の水」についてお話ししたいと思います。

便秘はあらゆる女性の悩み

一般的に便秘症状を訴えるのは男性よりも女性に多く見られます。美容を気にする女性は、便秘による肌荒れや、おなかがポッコリ出ることに神経質な傾向が強く、それがストレスになって便秘をより悪化させている1面があります。一説によると、日本人女性の約半分は便秘に悩んでいるのですから、事態は深刻です。

それを映す形で便秘解消法の本が出版されたり、雑誌やテレビなどでも取り上げられたりしています。そして、便秘の大きな原因に水分摂取の不足があります。
これは、水を研究する私の立場からするとどうにも不思議なことなのですが、便秘の解消を目的に、食事にいろいろと注意をはらい、運動やヨガなどを行い、さらにはサプリメントや漢方薬を利用している女性たちは、なぜもっと積極的に便秘に効果のある水を選び、それを飲まないのでしょうか。

以前にもお話ししましたが、体内に占める水分量は成人の男性で約60%、女性で55%と女性の方が少なくなっています。そのために、女性の方がのどの渇きに鈍い傾向があり、水分摂取も男性より少ないのが一般的です。体内の水分率が低くなると代謝の低下を招き、腸の活動そのものも停滞します。また、便に含まれる水分が著しく少なくなることから、排便が困難になってしまいます。慢性的な便秘に困っている人は、まず意識的に多く水を飲むことを心がけましょう。それで腸の働きが活発になり、便秘が解消され「美容力」もアップするはずです。

便秘解消には、硬水のミネラルウォーター

お勧めの水は硬水のミネラルウォーターです。特にマグネシウムを多く含んだミネラルウォーターは、便に水分を吸着させ、軟らかくするので効果があります。

最近は「便秘外来」の看板を掲げる病院が増えていますが、多くの場合、患者さんには便を軟らかくする酸化マグネシウムが処方されています。ここでは便秘に効果がある水を飲むわけですが、飲み方としては、目覚めた直後にコップ一杯のミネラルウォーターを飲む習慣をつけると便秘は改善していきます。さらに少し水を冷たくしておくと腸を刺激し、より効果的です。
起きたとき、体は「休眠モード」の副交感神経から、「戦闘モード」の交感神経に切り替わるのですが、この時胃腸の機能は抑制されます。それが冷たい水によって腸が活発になり、便意をもよおしやすくなるのです。もし、硬水を利用しても、排便が思わしくないときは、硬度が1000㎎/ℓ以上の「超硬水」を試してみましょう。特にマグネシウムの豊富なものが効果的です。

便秘はもちろん女性だけの問題ではありません。若いときからファストフードに親しんできた、今の中年以降の男性には、肉や動物性脂肪を好む傾向が強く、腸内細菌が貧弱な人が多いのです。便秘は大腸がんとも深く関わっていますから、ミネラルウォーターを上手く利用し、がん予防にもつなげていただきたいと思います。

肩こり・腰痛、冷え性には「炭酸水・硬水・アルカリ性」

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さて、年齢を重ねると体の節々の不調を訴える人が増えてきます。「神は細部に宿る」という言い方がありますが、健康、不健康も細部にそれが現れるのかもしれません。大病の経験のない人が、加齢とともに足の痛み、腰痛、冷え症に悩むのは、老化が細部に現れているとあきらめている人も少なくありません。このような小さな悩み(本人にとっては大きな悩みでしょうが)は誰もが持っています。しかも、こういった小さな悩みは、そのうち深刻な症状に発展する危険性もあります。若さを維持するためにも、このような健康上の小さな悩みの芽は、早めに積んでおくことが大切です。

しかし、これもいい水を飲むことで改善させることが十分に期待できるのです。足や腰の痛みに悩む人は多く、便秘と同じようにさまざまな治療法が行われています。漢方薬、サプリメントなどのタイプも多く、指圧、はり・きゅう、マッサージなど、まさに「治療のデパート」的状況ですが、まずは日常の水から変えることをおすすめします。足や腰の痛みにはいろいろな原因が考えられますが、一つは血流の悪化です。
足や腰の周辺には筋肉が複雑に絡まっていますが、その部分の血流が低下すると、血液中の酸素が不足し、乳酸などの老廃物がたまってしまいます。乳酸は疲労時にも蓄積しますが、乳酸の解消に効果的なのが炭酸水です。炭酸水に含まれる重炭酸イオンには乳酸を中和し、疲労回復に効果を発揮します。スポーツをした後に、炭酸水を飲みたくなることがありますが、これは乳酸が中和され、疲労感が緩和されるからなのです。

また、疲労感には神経の伝達を妨害する水素イオンが発生しますが、重炭酸イオンは水素イオンにくっつき、二酸化炭素と水に変化させる働きもあります。

炭酸水は二酸化炭素の濃度を高めるのですが、体はそれを酸欠状態と誤認識し、酸欠状態を改善しようとします。その反応として、血中の酸素濃度を高めるために血流がよくなり、血液は抹消にまで、行き渡り、手足や肩、腰を温めます。これが腰痛などに効果的なのです。炭酸水でも硬度の高いものの方が効果は高まります。カルシウム、マグネシウムは新陳代謝を高める働きがありますが、アルカリ性の水も同じ効果があり、おすすめです。

つまり、炭酸水、硬水、アルカリ性の水の三つが肩こり、腰痛、冷え症の改善ポイントになります。飲み方の注意ですが、寝る前にはこの種の水は飲まないことを覚えておいてください。睡眠中、体はミネラルの消化にエネルギーを費やしていますから、負担になるからです。この3種の水は日中に飲むことです。また、炭酸水は継続して飲むと体が酸性になるので改善したら、少し間をおきましょう。

藤田先生のウォーターレシピ

【水】便秘解消効果:硬水、超硬水
【飲み方】目覚めたら、冷やしてコップ一杯飲む

【水】腰痛改善効果:炭酸水、硬水、アルカリ性の水
【飲み方】日中チビリチビリ飲む

 

藤田 紘一郎

東京医科歯科大学名誉教授

 

著者紹介

藤田紘一郎

藤田紘一郎 (ふじたこういちろう)1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。
金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。

1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を授与。
2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉章を受賞。

主な近著に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)『脳はバカ、腸はかしこい』(35館)、
『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』(ワニブックス【PLUS】新書)などがある。

 

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