寝る前の一杯の水は宝水・目覚めの水は生命の源【藤田紘一郎先生の水で健やかVOL.18】

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水を飲むタイミングとして、忘れてはいけないのが就寝前です。寝る前には必ずコップ一杯の水を飲んでください。

睡眠中、人は自分で感じている以上の汗をかきます。呼吸による水分の放出も含めれば、就寝後に失われる水分量は約500ml、多いときには1ℓにもなります。これだけ水分量が減れば、起床時には体はカラカラ、血液はドロドロです。血液の濃度が高まれば、当然、血管は詰まりやすくなります。そのドロドロの血液が脳でつまれば脳梗塞、心臓でつまれば心筋梗塞です。

脳梗塞や心筋梗塞の発作が起こりやすいのは夜中、そして早朝から午前中にかけてです。睡眠中に多くの水分が失われ、午前4時から8時にかけては血液の濃度が最も高くなっているため、血管がつまりやすいのです。

就寝前にアルカリ性の水で体内環境を戻す

就寝中の水分の喪失は防げません。けれども、就寝前にきちんと水分を補い、体内の水分量をしっかり満たしておけば、血液の著しいドロドロ化を防げます。
そこで、就寝前のコップ一杯の水が命を守る「宝水」となるのです。

ところが意外と多いのが、「夜中にトイレに起きるのは面倒だ。寝る前に水は飲みたくない」という意見です。尿意で睡眠が分断されるのが嫌なのはわかります。でも、脳梗塞や、心筋梗塞になるくらいなら、夜中にトイレに起きることの方がマシではありませんか。
さて、就寝前の水はどのように飲むと最も効果的でしょうか。

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まず、水の種類ですが、私が就寝前に飲むのは酸化還元電位の低い、還元力の高い軟水です。人間の体内は本来アルカリ性ですが、疲れてくると酸性に傾きます。そこで就寝前にアルカリ性の水を飲み、本来の体内環境に戻してあげると、睡眠中の新陳代謝が促され、体内環境を良い方向に整えてくれます。

なお、脳梗塞・心筋梗塞になりにくい体質づくりには、ミネラル分の豊富な硬水が必要ですが、ミネラルを多く含むぶん、代謝にエネルギーがかかるため、睡眠中の体には負担も大きいのです。また、硬水には便通をよくする長所がありますが、効きすぎれば下痢を起こします。日中は硬水を飲んでいる人も、就寝前のコップ一杯は、体への負担の少ない軟水が良いでしょう。

次に飲むタイミングですが、これは、自分の体が水にどう反応するかで決めてください。というのは、水には覚醒作用も鎮静作用もあり、どう作用するかは個人差が大きく現れます。寝る直前に水を飲むと目がさえてしまう人は、就寝の30分前に飲むようにしましょう。反対に、水を飲むと気分が落ち着くという人は寝る直前で良いと思います。私は後者のタイプで、夜中にトイレに起きたときにも水を飲み、再び布団にもぐります。水の温度は、体温よりちょっと低めが最適です。ギンギンに冷やした水を飲むと、体が覚醒してしまい、寝つきが悪くなります。反対に水を温めてしまうのもよくありません。水に火を通すと、水の組成が変わってしまい、水の個性も健康効果も失われてしまいます。

なお、スポーツドリンクなどの清涼飲料水やお茶類は、就寝前には不向きです。清涼飲料水は糖分過多になり、また、お茶類は利尿作用で水分がかえって排出されてしまいます。これでは、水分補給にならないばかりか、健康にもよくありません。就寝前には常温の軟水を一杯飲むと覚えてください。

目覚めの一杯には冷やした水を

就寝前の水と同じくらい大事なのが、目覚めの一杯の水です。私も起き抜けにコップ一杯の冷たい水を飲むことを日課にしています。

目覚めの一杯の水が大事である最大の理由は、睡眠中に高くなった血液の濃度を下げることです。ドロドロの血液が血管を詰まらせないようにするには、目覚めてからなるべく早く水を飲むことです。血液の濃度が下がり、血行がよくなります。
実際に脳梗塞で病院に運ばれてきた患者さんをみると、血液の濃度がとても高く、そのままにしておくと血管がどんどんつまって悪化していきます。ところが、水分を補給すると、血液の粘度が下がって血流がスムーズになり、悪化を防ぐことができるのです。

目覚めの一杯の水が大事な二つ目の理由は、胃腸の働きを促進することです。

朝、起きたばかりの胃は動きが鈍く、消化力も低下しています。食欲がないのは、当然のことです。その状態のところに固形物を入れては、胃への負担はおおきく消化もままなりません。一方、水ならば無理なくスッと吸収できます。腸に水分が吸収されれば動きも良くなり、便意がもよおされます。起き抜けの水は、食欲増進とともに便秘解消にも役立つわけです。

さらに、腸から吸収された水は血液やリンパ液として体内をめぐります。

そうして、体のすみずみに酸素や栄養物を運びます。同時に老廃物を押し出し、体をきれいに掃除して、エネルギッシュにしてくれるのです。
ちなみに、目覚めの一杯の水はキリリと冷やしたアルカリ性の軟水がお勧めです。水には鎮静作用と反対の働き、すなわち覚醒作用もあります。気持ちをシャキッとさせ、体内を活性化させてくれるのです。寝起きの体の機能が鈍っている時には、冷やした水で心身ともにすっきりと目覚められます。

ただし、便秘症の人には硬水をお勧めします。豊富なカルシウムやマグネシウムが、排便を心地よくうながしてくれるでしょう。水を飲めば尿がでます。その尿には体に不要となった老廃物がたくさん含まれています。つまり水を飲むことは、体内を浄化し、循環を整えることでもあるのです。それに加えて、便通も良くなります。水分を吸収することによって腸の動きが活発になり、排便がうながされます。反対に腸内の水分量が不足すると便秘になります。便秘の原因の大半は水不足です。ですから、便秘に悩む人は目覚めたら硬水をしっかり飲むべきです。水の温度は、就寝前と反対にキリリと冷えた水が最適です。水の持つ覚醒作用が強調され、体をスッキリと目覚めさせてくれます。ただし、胃腸の弱い人は強い刺激を避けた方が良いので、常温水にしておきましょう。

藤田先生のウォーターレシピ

【水】就寝前は常温の軟水/目覚めたらキリリと冷やしたアルカリ性の水

【飲み方】就寝前も目覚めたときもコップ一杯を飲む

 

藤田 紘一郎

東京医科歯科大学名誉教授

 

著者紹介

藤田紘一郎

藤田紘一郎 (ふじたこういちろう)1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。
金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。

1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を授与。
2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉章を受賞。

主な近著に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)『脳はバカ、腸はかしこい』(35館)、
『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』(ワニブックス【PLUS】新書)などがある。

 

 

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