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マグネシウムを含む天然水を飲んでいると心臓病になるリスクが低下する【藤田紘一郎先生の水で健やかVOL.12】

マグネシウムを含む天然水を飲んでいると心臓病になるリスクが低下する【藤田紘一郎先生の水で健やかVOL.12】

健康で長寿を保つには飲料水中のカルシウムが大切であることを前に述べました。カルシウムをたっぷりに含む水を毎日飲んでいると、血管が丈夫になり、脳梗塞や心筋梗塞を防ぐことができることを解説しました。

しかし、健康を向上させるには、カルシウムだけではダメだということを知る必要があります。「カルシウムが健康寿命には大事だから」といって、カルシウムだけを過剰に取ってしまったりすると、かえって命を縮めることにもなりかねないため注意が必要です。

カルシウムの過剰摂取に注意

カルシウム

カルシウムは細胞内に過剰に蓄積してしまうと、さまざまな病気を誘発する原因となってしまいます。カルシウムが血管内壁の細胞にたまれば動脈硬化を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞を起こす原因になることはお話ししました。加えて、高血圧症も引き起こされます。脳細胞にたまれば認知症に、脊髄にたまれば神経の変性を起こすことにもなりかねません。

では、カルシウムの過剰摂取による弊害を消すためにはどのようなことをしたらよいのでしょうか。答えは一つです。マグネシウムを一緒に取れば良いのです。

カルシウムはマグネシウムがあってこそ、体内で大事な仕事を思う存分行うことができるのです。マグネシウムにはカルシウムを細胞の外に運び出す作用があるからです。このことによって、カルシウムが細胞内に蓄積されるのを阻止しています。

マグネシウムのこの働きは重要で、心筋梗塞など血管からくる心臓病には、マグネシウム不足が深く関与しているとも考えられているのです。

研究からわかる、心筋梗塞の予防に適した水

コップの水

カルシウムとマグネシウムをたっぷり含む水が心筋梗塞を予防するという疫学的データをフィンランド国立公衆衛生研究所のМ・カルボネン博士のチームが報告しています。発表されたのは、2004年の環境衛生の雑誌(Journal of Epidemiology Health 2004.136)です。 

フィンランドでは以前より、心筋梗塞による死亡率が西部より東部の方がはるかに高いことが知られていました。そこで、カルボネン博士らは住民の飲み水の硬度を調査したのです。

水の硬度とは何度も申し上げている通り、水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を数値化したものです。硬度が高い水ほど、カルシウムとマグネシウムが多いことを示します。

調査を行ったのは、1983年から1993年の10年間でした。この間に心筋梗塞を起こした男性1万8046人を調査対象として、地域を10km四方にわけ、水質の硬度をミネラルに関するデータで分析しました。その結果、非常に興味深いことがいくつも明らかにされました。

第一に、飲み水の硬度が高い地域に住む男性ほど心筋梗塞の発作が少ないことがわかりました。また、水の硬度が1ユニット上がると、心筋梗塞を起こすリスクが1ポイント低下することも明らかにされています。ユニットとはドイツで使われている硬度の単位で、1ユニットは17PPMにあたります。

さらに、カルボネン博士らは、飲み水に含まれるフッ化物、鉄、銅、亜鉛、硝酸塩、アルミニウムなどの微量元素の濃度に関するデータも収集して、これらのミネラルと心筋梗塞の発症率との関係も調べたのです。

この調査では、フッ化物は心筋梗塞を防ぎ、鉄と銅は心筋梗塞のリスクを高める傾向がみられました。その他のミネラルと心筋梗塞の発症率には、明らかな差が認められなかったということです。

以上の調査に加えて興味深かったのは、西欧人のマグネシウム摂取量が年々減ってきている報告がなされたことです。マグネシウムは1日の所要量350㎎が推奨されています。この数値を満たしていない人に、心筋梗塞の発症が多く見られたのです。

こうした結果を受けて、カルボネン博士は次のように言及しています。「食品中のマグネシウムはさまざまな化合物となっており、人体に吸収されにくい。それに反して、水中のマグネシウムは水和イオンの形で存在し、吸収されやすい。従って、特に心臓などに障害のある人はマグネシウムを多く含む水を積極的に飲むようにしてほしい」

大切なことは、カルシウムとマグネシウムをバランスよく毎日摂取することです。カルシウムだけでもダメですし、マグネシウムだけでもダメなのです。摂取比率は、カルシウム2対マグネシウム1が理想とされています。

良質な水を飲むことの大切さ

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厚生労働省では、カルシウムを1日700㎎摂取するよう推奨しています。人は体内で毎日700㎎のカルシウムを失っています。

従って「カルシウム・パラドックス」を起こさせないためには、最低でも700㎎のカルシウムを毎日、体に入れてあげる必要があるのです。この数値から計算すると、マグネシウムの理想の摂取量は350㎎となります。

私たちは毎日の食事からマグネシウムを摂取しています。マグネシウムは、ノリやわかめ、ヒジキ、コンブなどの海藻類のほか、納豆や油揚げなどの大豆食品、しらす、いわし、あさりなどの魚介類に豊富です。ただ、どんなに含有量の多い食品でも、人体は全てを吸収できるわけではありません。

一方、水に含まれているミネラルはイオン化されているため、摂取した分だけ体にそのまま吸収されていきます。「毎日の食事で不足してしまうミネラルを毎日の飲み水で補っていく」という考えは、非常に理にかなったものなのです。

毎日きちんとした食生活に良質の水を飲むことを加えれば、脳梗塞や心筋梗塞など、人生を脅かす病気にならなくて済むということです。

藤田先生のウォーターレシピ

【水】心筋梗塞などの心臓病予防:マグネシウム含有量の多いアルカリ性の天然水

【飲み方】1日1・5ℓをチビリチビリ飲む。

藤田 紘一郎

東京医科歯科大学名誉教授

著者紹介

藤田紘一郎

藤田紘一郎 (ふじたこういちろう)1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。
金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。

1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を授与。
2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉章を受賞。

主な近著に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)『脳はバカ、腸はかしこい』(35館)、
『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』(ワニブックス【PLUS】新書)などがある。

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本記事に記載されている情報は、他の専門家によるアドバイスとは異なる可能性があります。特定の健康上の懸念がある場合は、個別事象の専門家に直接ご相談ください。

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