カリウム不足は疲労感が増す。海洋深層水に期待。【藤田紘一郎先生の水で健やかVOL.26】

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水のミネラル含有量を表す硬度は、カルシウムマグネシウムの量から計算されます。天然水にはほかにもミネラルが含まれます。カルシウムとマグネシウムのほかに、とくに大切なミネラルはナトリウムカリウムです。ペットボトルのラベルにこの四つが主に記載されているのは、人の体にとくに重要なミネラルだからです。

ナトリウムとカリウムは2つで1つ

ナトリウムは、ご存知のとおり、食塩を生成するミネラルです。体には、人体の0.14%ほどのナトリウムが存在しています。そのうち4分の1は骨格内にあります。

残りの4分の3は細胞の外液にあります。細胞外液に存在するナトリウムはイオン化されていて、体液の浸透圧を正常に保つ働きを担っています。また、栄養や老廃物のやりとりをスムーズにすることで、細胞の新陳代謝をうながす役割もあります。

一方、カリウムは細胞内液に多く存在するミネラルです。カリウムは細胞内液の中で酸とアルカリのバランスを整え、浸透圧を調整しています。

このナトリウムとカリウムは、互いに作用しあって初めて一人前の働きができるミネラルです。どちらかが欠けていれば、両者が本来の働きをできなくなってしまうのです。しかし、両者がバランスよく存在していれば、体は快調に動けます。なぜなら、神経の伝達がスムーズに行われ、筋肉の向上や疲労回復に働き出すためです。

また、カリウムが存在することで、ナトリウムの負の作用を和らげることも出来ます。ナトリウムはとり過ぎると血圧の上昇を招きます。高血圧になり、医師から「塩分を控えるように」と言われている人も多いことでしょう。高血圧の状態が長く続くと、血管への負担が大きくなり、血管や心臓に障害をもたらすことになるからです。

しかし、カリウムが細胞内液にしっかり存在していれば、ナトリウムを摂り過ぎてしまっても血圧が上昇しないように調整してくれるのです。

ふだんきちんとした食生活を送っていれば、ナトリウムは不足することのないミネラルです。カルシウムとマグネシウムは、積極的に摂る必要のあるミネラルですが、ナトリウムとカリウムはさほど神経質になることはありません。

なぜなら、きちんとした食事の中には、ナトリウムもカリウムもバランスよく存在しているからです。ナトリウムは塩分のもとになるミネラルですから、調味料を使った料理をすれば、これが不足することはありません。

カリウムも食品中にも多く含まれているミネラルです。たとえば、パセリや味噌、アボカド、ほうれん草、切り干し大根、玄米などのほか、コンブやわかめ、ヒジキなどの海藻類にも豊富です。また、野菜全般に含まれています。

ただし、レトルト食品やコンビニ弁当、外食などの多い食生活を送っている人は、話が違います。こうした食事になると、味が濃くなるためナトリウムの摂取量が増える半面、野菜類が不足してカリウム不足を引き起こしやすいのです。

カリウム不足の人は食生活の改善を

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カリウムが不足すると、低カリウム血症を招きます。

低カリウム血症になると、疲労感やだるさなどのほか、頻脈や拡張症など心臓の異常を招く原因になります。食生活が乱れがちで、だるさや疲労感の抜けない人は、カリウム不足なのかもしれません。

ただ、カリウムはたくさんとればとるほどよい、というわけではありません。ここがむずかしいところで、過剰に摂取すれば心機能障害や不整脈を招く心配が出てきてしまいます。カリウムのサプリメントも販売されていますが、過剰摂取を防ぐため、手軽で安易な方法には頼り過ぎず、食生活の中から改善を考えていきましょう。

カリウムを上手に補うには、第一に野菜や海藻類をしっかり食べるよう気を配ることです。仕事が忙しく、外食に頼りがちの人は、なるべく定食屋で食事をするとよいでしょう。いつものメニューにわかめサラダやほうれん草のおひたし、ヒジキや切り干し大根の煮物、納豆などの小鉢を加えると良いと思います。私も昼食はたいてい研究室のそばの定食屋で食べています。ここは、五穀米や玄米があるほか、多種多様な小鉢や料理を自分の好みに合わせて選べるようになっており、私のお気に入りです。

疲れやすい人は、食生活を改善したうえで、水にもこだわっていくと良いでしょう。

だるさや疲労感があるときは海洋深層水で解決!

疲労感の強い人には、カリウムの含有量が多い、アルカリ性の水をおすすめします。海洋深層水には、カリウムに加えてマグネシウムの豊富な水がよく見られます。

海洋深層水とは、水深200m以下の深海水をさします。日の光が届かず水温の低い深海には細菌が少なく、環境汚染も受けていません。ただし、海水ですから生のままでは塩辛くて飲めません。そこで脱塩や殺菌などの処理が行われたうえで、飲み水に加工されます。

海の水と人間の血清はミネラルの構成比率がほぼ同じです。血清とは、血液から血球などを除いた成分のことです。また、胎内にある羊水のミネラル比率も、海水とほぼ同じです。これは海がすべての生物の誕生の場であり、人間の祖先も遠く遡れば海から生まれた生物だったことを物語っています。

その海水を使ってつくられる海洋深層水は、人間の体に適合しやすい水だとも言えるでしょう。ただ、脱塩などの処理をする際に、大事なミネラルをとり過ぎてしまっている水もみられます。購入の際には、カリウムなどのミネラルをどの程度含んでいるのか、ラベルをよく見て選ぶようにしましょう。

カリウム、ナトリウムのミネラル成分は普段の食生活から補うことができるミネラルですが、不足の場合を考えて、だるさや疲労感が出てきたときにはを海洋深層水を飲むのも一つの方法です。しかし、継続して飲むことはミネラルのバランスを崩したり、ミネラルの過剰摂取にもつながるので、注意が必要です。

摂取しやすいミネラルだからこそ、過剰摂取に気をつけ、また、カリウム、ナトリウムは二つで一人前の働きができるミネラルなので二つのバランスが大事だということを覚えておいてください。

藤田先生のウォーターレシピ

【水】だるさ疲労感の解消。:カリウムの豊富なアルカリ性の水(海洋深層水など)

【飲み方】1日に数回に分けて飲む

 

藤田 紘一郎

東京医科歯科大学名誉教授

 

著者紹介

藤田紘一郎

藤田紘一郎 (ふじたこういちろう)1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。
金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。

1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を受賞。
2000年、ヒトATLウィルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉賞を受賞。

主な近著に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)『脳はバカ、腸はかしこい』(35館)、
『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』(ワニブックス【PLUS】新書)などがある。

 

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