運動と水で長寿遺伝子を活発にする【藤田紘一郎先生の水で健やかVOL.21】

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人は誰でもが体の細胞内に「長寿遺伝子」を持っています。ただし、残念なことにこの遺伝子はふだん眠っているような状態で働いていません。“能あるタカは爪を隠す”とは少々意味合いが違うかもしれませんが、いずれにしても優秀かつ貴重な遺伝子を眠らせておくのは実にもったいない話です。

眠っている長寿遺伝子ですが、それを起こすことはさほど難しくはありません。ちょっとしたスイッチを「ON」にするだけで、長寿遺伝子は目覚め、動き出す性質を持っています。根っからの怠け者ではないわけですが、最も手っ取り早い方法は運動のスイッチを押すことだと考えられています。運動で筋肉が弛緩(しかん)・収縮することによって、長寿遺伝子は活性化するのです。

長寿遺伝子を活発にする「インターバル・ウォーキング」

運動は、生活習慣病を予防し、長寿をもたらすうえで欠かせない習慣の一つで、心身のリラックス効果も期待できます。しかし、「どうしても続かない」と悩む人が少なくありません。一念発起して、ジョギングウエア―やシューズを新調したり、スポーツジムに新たに入会したりしても、結局無駄になってしまうケースも多いようです。
「継続は力なり」と言いますが、逆に言えば何事も継続することが難しいからこそ、このような教訓があるとも考えられます。

しかし、うれしいことに、長寿遺伝子のスイッチを入れるには本格的な運動、激しい運動は必要ではありません。むしろ、じんわりと汗をかく程度の運動の方がスイッチは入りやすいのです。「運動」と身構えず、日常生活の中で意識的に体を動かすことを心がける、と考えればいいのではないでしょうか。

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具体的な運動法としては「インターバル・ウォーキング」がおすすめです。

これはウォーキングに強弱をつける方法で、例えば5分間はゆっくり歩き、次の5分間はその1.5倍くらいの速さで歩きます。こうして20分から30分くらい歩くのが目安ですが、インターバルの時間やスピードは、歩く人の年齢や体力などによって変えて構いません。体が少し重く感じる時や、気分がのらないときは全体の時間を短くしてもいいのですが、こうしてメリハリをつけた歩き方をすると長寿遺伝子にスイッチが入りやすくなります。

イメージとしてはウォーキングよりは体への負担が大きく、ジョギングほどではない、といった運動法です。従って、改めて「運動するぞ」と意気込む必要もありません。通勤時間や帰宅時に、一駅手前で下車している人がいますが、このような時にこの「インターバル・ウォーキング」をするだけで、長寿遺伝子が元気になるのですから、こんないい話はありません。
買い物などに行く時に「インターバル・ウォーキング」を習慣化すれば、リラックス効果とともに「長寿遺伝子の貯金箱」が膨らむはずです。

運動時には水分補給が欠かせないポイントとなります。「インターバル・ウォーキング」に限らず、運動をするときには、より一層水分補給が重要になってきます。運動をすることで新陳代謝が高まり汗をかくことは、健康にも非常にプラスなのですが、その放出分をしっかり補っておかないと、脱水症状を起こしかねません。その予防として、水分摂取は絶対にかかせません。

運動時の水分補給のポイントはまず、運動前にコップ一杯のアルカリ性のミネラルウォーターを飲むことです。運動時には汗で水分が排出されるため、血液のドロドロ化が起こりかねません。それを予防するために、あらかじめ水分を摂取しておく必要があります。同時に運動中は体内の細胞が上昇した体温の熱などで燃やされ、酸性に傾きやすくなります。その予防のためにもアルカリ性の水が効果的です。

運動中の水分の取り方

運動中も水分を取ることが大切ですが、そのタイプや量は中身によって異なってきます。「インターバル・ウォーキング」を20分から30分程度行う場合は、のどの渇きを感じる前に、少しずつアルカリ性のミネラルウォーターを補給します。従って、水の入ったペットボトルなどは必須アイテムとなります。

たまには、しっかりと汗をかくためにジョギングを1時間位することになったら、ミネラルウォーターよりもスポーツドリンクがおすすめです。
汗を多くかくときに、失われるのは水分だけではありません。汗と一緒にナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラルも放出されます。これらの成分を補給しないと、脱水症状をお越し、気温が高いケースでは熱中症を引き起こしかねません。

脱水症状は、文字だと水だけが失われた状態に見えますが、実際は水分とともに多量のミネラル分が排出されることで起こります。
一般的には頭痛や吐き気をもよおし、体温も上昇します。そして、汗をどんどんかくのに体温が下がらず、40度前後にまで達すると、熱中症の危険ゾーンに達してしまいます。
こういった場合に、水分だけを摂取しても状態は改善しません。それどころか、水分によって体内の塩分濃度が薄まり、かえって、細胞内の脱水が進んでしまいます。したがって、脱水症状を前の段階で予防するためには、汗をたくさんかく前にミネラル分の入ったスポーツドリンクを飲んでおくことが必要なのです。

スポーツドリンクにもいろいろなタイプがあります。大切なのはもとめる前に成分表をしっかりチェックし、自分の体調や用途別に選ぶことです。最近はダイエット志向なのか、カロリーオフのスポーツドリンクも増えていますが、このタイプはミネラル分の含有量が少なめですからやや強めの運動をするときは、ミネラル分がきちんと入ったスポーツドリンクを選びたいものです。

運動中の水分摂取は“がぶ飲み”にも注意が必要になります。特に汗をたくさんかいたときは、思わずぐいぐいと水分を飲みたくなるものですが、大量の水分を急激に体内に入れると、おなかがぽちゃぽちゃした状態になり、腹痛を起こすこともあります。運動中は、のどの渇きを覚える前に、少しずつ飲むことが大切です。

運動後の水分補給も忘れてはいけません。私は時々炭酸水を飲むようにしています。炭酸水は、疲労の一因となる乳酸を分解する働きがあるからです。

藤田先生のウォーターレシピ

【水】運動の前後、運動中:ミネラルが豊富なアルカリ性の水。激しい運動時はスポーツドリンク

【飲み方】一気に飲まない。

 

藤田 紘一郎

東京医科歯科大学名誉教授

 

著者紹介

藤田紘一郎

藤田紘一郎 (ふじたこういちろう)1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。
金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。

1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を授与。
2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉章を受賞。

主な近著に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)『脳はバカ、腸はかしこい』(35館)、
『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』(ワニブックス【PLUS】新書)などがある。

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