純水は「体を壊す水」、続けて飲むと、体調を壊す【藤田紘一郎先生の水で健やかVOL.25】

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水道水が「体を壊す水」であることは、広く知られるようになりました。体を壊す水など、みすみす飲むわけにはいかないと、ペットボトル詰めの水を購入する人も多くなりました。とても良いことだと思います。ところが近年、困ったことが起こっています。スーパーなどで、純水を無料で配るようになったのです。また、数十万円もの大金をかけて、純水をつくる機会を設置する家庭も見られるようになりました。

純水が持つ溶解性が、ミネラルを壊す

水道水には有害物質が含まれているから、すべてを取り除けば健康に良い水になる、と考えるのは間違いです。水には物を溶かしこむ性質があります。お酒や紅茶、スープなどが好みに合わせておいしく作れるのは、水にはいろいろな成分を均一に溶かす「溶解性」という性質があるからです。

この溶解性は、水に不純物が含まれないほど強く表れます。例えば、半導体製造では各プロセスで超純水を使って洗浄作業を行います。通常の洗剤を使えない場合では、超純水が洗浄剤として使われます。水の純度が高くなるほど「ハングリーウォーター」となって、いろいろなものを溶かし込んでくれるからです。

半導体産業の洗浄作業では、通常の水は使えません。純度の低い水は洗浄能力が落ちるという点に加えて、水内の不純物で半導体を汚してしまうという問題が起こるからです。よって、高純度の水が求められるのです。原子力産業や製薬事業、高度なバイオテクノロジー産業などでも、超純水が洗浄作業で使われています。

産業界にとっては不可欠な純水も、体内には「毒の水」となります。

純水を飲むことで発生する体への影響

最近、純水を日常的に飲むようになって、体調を崩したという事例が増えていると聞きます。純水を生のまま飲むと、体が保持している大事なミネラルを溶け出させてしまう危険性があるのです。

ミネラル不足は、さまざまな病気を引き起こす原因となります。これまで水の健康効果をミネラルの特徴とともにお話ししてきました。裏を返せば、体にとって必須のミネラルが不足してしまえば、健康とは反対の状態に陥りかねません。純水を飲んで体のミネラルが奪われてしまうと、健康への害が心配されるのです。

無料だからと言って、スーパーでくんできた純水は、調理にだけ使い、生のままでは飲まないことです。「タダほど怖いものはない」と昔から言いますが、純水も体にとって怖い水なのです。

最近は純水を使った飲み物なども売られています。パッケージにピュアウォーターなどとよく書かれていますが、ピュアウォーターとは純水のことです。

また、蒸留水も生のまま飲んではいけない水です。2011年に起きた、福島原子力発電所の爆発事故のあと、放射線の被害を恐れてペットボトル詰めの水が全国的に品薄になったことがありました。このとき、非常用の保存水を購入した人もいたと思います。水不足に陥ったあの当時「5年保存できる」というキャッチコピーは魅力的に映ったことでしょう。

長期保存の可能な非常用水は、高温殺菌しているか、蒸留水、もしくは純水です。

蒸留水のつくり方は、以下のとおりです。
水を沸騰させ発生した水蒸気を冷却すると、凝縮されて、水に戻ります。こうした純度の高い蒸留水は、医薬品の実験や化学上の操作などで使われます。この水が飲めないわけではありません。しかし、健康を考えれば、生のまま飲んではいけない水です。蒸留水を水槽に入れ、そこに淡水魚を放すとどうなると思いますか。それまで生き生きと泳いでいた魚が、苦しそうに暴れたのちに死んでしまうのです。
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか。水に溶け込んでいる酸素がないため、窒息してしまうのです。「水清ければ魚棲まず」とは、本当にそのとおりなのです。

こうした現象を見ても、蒸留水は気軽に飲んで良い水ではありません。人間の場合、絶食状態にあるとき、蒸留水を約1・8L飲むと死に至ると言われています。

蒸留水や純水を保存している人は、生のまま飲まないことです。どうしても使いたいのならば、調理に少量ずつ使うと良いでしょう。その場合も大量に一気に使うようなことはしないことです。災害にあってやむをえず飲む場合には、お茶などにしてチビリチビリと少しずつゆっくり飲み、普段はあまり飲まないようにすると良いと思います。

さゆはあかちゃんのためになる?

沸騰させたさゆも、溶存酸素を失った「体を壊す水」です。

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昔は、赤ちゃんには湯冷ましを飲ませるというのが常識でした。少量ならば構いませんが、湯冷ましばかり飲ませるのも、赤ちゃんの健康によいことではありません。

最近のお母さんは、ペットボトル入りの天然水まで沸かしてから赤ちゃんにあげていると聞きます。その水が非加熱の天然水だった場合、沸騰させれば、せっかくの溶存酸素や水の活性を失ってしまうことになります。「赤ちゃんのため」と手間をかけることで、体に良くない水になってしまうのだとしたら、残念なことです。

「赤ちゃんに生水をあげてはいけない」というのは、お母さんたちの常識のようですが、それは腸にとっては非常識です。赤ちゃんも大人と同じく、少しくらいの細菌が入ってきた方が腸を健康に鍛えられます。赤ちゃんの腸を元気にするには、大腸菌などの悪玉菌の力も不可欠であることは腸の研究により、明確化されています。

また、さゆを飲んで健康になるという「さゆ健康法」のようなものが流行していると聞きます。
暖かいものを飲めば、体が温まります。その効果は確かにあるでしょう。

しかし、水の活性を健康に取り入れようと思うのならば、沸騰させた水に効果はありません。むしろ、さゆを水道水でつくるのは、残留汚染物質を濃縮して飲むようなものだと思ってください。
古くから日本は水の豊かな国で、干ばつなどの危機にさらされない限り、水を手に入れるのはそう難しいことではありませんでした。日本は基本的に、どこに行っても水はすぐに手に入ったのです。水が容易に手に入る環境であったため、日本人は平気で水源を汚染したのです。その結果、殺菌を目的として注入する塩素の量が増加したのです。

いまや日本の水道水は、世界で最も塩素注入量が多い水になってしまいました。また、その背景には日本の飲料水中に大腸菌群が絶対に検出されてはならないという水道法が極めて厳しく規定されている事実があるのです。

藤田先生のウォーターレシピ

【水】純水:蒸留水は生のまま飲まない。

【飲み方】さゆなどもNG

 

藤田 紘一郎

東京医科歯科大学名誉教授

 

著者紹介

藤田紘一郎

藤田紘一郎 (ふじたこういちろう)1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学卒。東京大学医学部系大学院修了、医学博士。
金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。

1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を授与。
2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉章を受賞。

主な近著に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)『脳はバカ、腸はかしこい』(35館)、
『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』(ワニブックス【PLUS】新書)などがある。

 

 

 

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