海水を飲料水にすることができる「海水淡水化」ってどんな技術?

海水を飲料水にすることができる「海水淡水化」ってどんな技術?

私たちが住む日本は、水の豊かな国です。水道の蛇口をひねればすぐに、水がたくさん出てきます。一方、水不足に悩む国がとても多いことは誰もが知っている事実。

地球の7割は海なので、水はたくさんあるはず…、と思いますが、実は海水を淡水にする技術はとても難しく、実現が難しいとされてきました。
それが近年、海水を淡水に変えることができる「海水淡水化」という技術が確立しつつあり、話題を呼んでいます。

水不足に悩む多くの人を救えると期待されている、「海水淡水化」についてご紹介します。

 

世界中では、8人に一人が安全な飲用水が飲めていないという現状

自宅から何キロも先にある手製の井戸から、飲用水の基準におよそ満たない濁った水をくんで飲まざるを得ない環境に置かれている人は、世界中にたくさんいます。
2008年の、国連児童基金(ユニセフ)と世界保健機関(WHO)の報告によると、世界中で8億8400万人もの人が、安全な飲用水を利用できていない、としています。
地球上の人々のおよそ8人に一人は、汚染の可能性のある水源を利用しているのです。

日本では100%の人が、安全な飲用水を利用できるとされています。
確かに、日本国内では雨量不足や自然災害などによって一時的な断水などが起こることはありますが、飲用水が不足している、という状態になったことはありません。
いつでも厳正な管理下で処理されている水道水が利用できますし、コンビニやスーパーではたくさんの水や清涼飲料水などが売られていますよね。

普段の生活では、当然のようにふんだんな水を利用することができるためありがたみを感じづらいのですが、世界ではこんなにも多くの人が、日常生活に不便を感じるほどの水不足を感じているのです。

 

ふんだんにある海水を淡水に変える技術が「海水淡水化」

地球は、7割が海で覆われています。こんなに大量に水があるのに、海水は飲用水にはなり得ません。

なぜなら、海水には約3・5%の塩分が含まれていて、人間が飲むには塩分濃度を0・05%以下にまで下げる必要があるためです。
船やヨットで遭難した際、どんなに水不足に苦しんだとしても、海水は飲んではいけない、とされています。

体内の血液は1%弱の塩分濃度が含まれていて、常にこの濃度で保たれるようになっています。
塩分の高いものを摂取すると、体が1%の塩分濃度に薄めるために、水分を必要とするのです。
そのため、海水を飲むと余計に水分不足が促進され、喉の渇きを感じるようになってしまいます。

塩分濃度の高い海水を飲用水にする技術はなかなか進展せず、停滞してきました。
ですが、こんなにもふんだんにある海水を飲用水に変えられれば、水不足に悩む多くの人を救うことができます。

たゆまぬ研究の結果、海水を飲用水に変える技術が現在、確立しつつあります。それが、「海水淡水化」です。
海水淡水化にはいくつかの方式がありますが、「逆浸透法」と「多段フラッシュ」が主な方法だとされています。

 

・逆浸透法

海水を、逆浸透膜(RO膜)というろ過膜に圧力をかけながら通すことで、塩分がろ過されず、淡水だけが抽出できる方式のことを言います。世界的に利用されることが多くなってきていますが、コストがかかることがネックとなっています。

 

・多段フラッシュ

海水を熱して蒸発(フラッシュ)させてから、発生した蒸気を凝縮して淡水を生産する方式のことを言います。大量の淡水を一度に作り出すことができる一方、熱効率が悪いため、多量のエネルギーが必要とされます。

 

注目の新しい海水淡水化技術「パーベイパレーション」

逆浸透法ではコストがかかり、多段フラッシュでは多量のエネルギーが必要となるという問題がある中、エジプトのアレクサンドリア大学では、新たな海水淡水化技術が生まれようとしています。

それは、「パーベイパレーション」という方式。過程としては、まず海水を蒸発させる段階で、塩の粒子や不純物を同時にろ過する、特殊なフィルターを用いて水と分離させます。さらに、残った塩も加熱して蒸発させることで、きれいな水へと液化させていくのです。

この新しい技術は、多大なコストは必要なく、海水を蒸発させる際に電力を使用しないため、電気インフラが整っていない場所でも水を作り出すことが可能になります。
さらに、逆浸透法や多段フラッシュでは製造された水はそのまま飲用できず、加熱などの殺菌をおこなわなければなりませんが、パーベイパレーションの場合は塩だけでなく、汚れなども除去できるとして評価されています。

まだ実用段階まで至っていないパーベイパレーションですが、実用化が進めば、水不足の地域に低コストで飲用水を提供できるようになるのです。

 

おわりに

海に囲まれながら、水不足に陥っている地域は世界中にたくさんあります。海水が飲用水として利用できるようになれば、多くの人が助かります。パーベイパレーションなど、新しい技術が次々と生まれてきていますので、実用化が待たれるばかりです。

もし今後日本で断水が起こったとしても、これらの技術が実用化されていれば復旧まで何日も待たなければならないということはなくなるかもしれません。

生きるためには水が必要不可欠です。いつか世界中の人が安全な水を飲めるようになるといいですね。

 

 

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