【ユーザー調査】卓上型ウォーターサーバーを選んだ理由とは?
ウォーターサーバーと聞くと、縦長で床に置いて使うものを思い浮かべる人は多いだろう。実際、主流となっているのはこのタイプで、デザインのバリエーションも圧倒的に多い。しかし、床置きタイプの半分ほどの高さのコンパクトな「卓上型」を選ぶ人もいる。今回は、卓上型ウォーターサーバーを愛用している人たちはどのような理由でそれを選び、日常的にどんな風に使っているのかを編集部が実際に取材して調べてみた。
(ケース1)部屋を移動させたいから
30歳の松田郁恵さん(仮名)は、間取り2LDKのマンションで一人暮らしをしている。
「地価が安い地域で、駅から徒歩12分という立地なので安く借りられています。独りで住むには十分すぎる広さなんですが、仕事柄、スペースを確保しないとならないんです。というのも、服飾関係の仕事をしているため部屋の一つは洋服や収納ボックスなどで埋まり、その残ったわずかな空間にミシンを置き、作業部屋としても使っているんですよ」
仕事を自宅に持ち帰ることも少なくない松田さん。友人にすすめられて昨年の夏からウォーターサーバーを使い始めた。
「家で仕事をしているときに手軽に水分補給できることや、駅から歩いて帰ってきて喉が渇いているときに、すぐ飲める点がいいと思ったんです。冷蔵庫からペットボトルを出してフタを開けてグラスに注いで…という動作は、疲れているときって意外と面倒ですからね(笑い)。そこで友人が使っているのと同じ『クリクラ』のウォーターサーバーにしました」
そして松田さんは卓上型を選んだ。理由は「移動させやすい」からだ。通常はリビングダイニングのテーブルの上に置いてあるが、作業部屋でミシンをかけるときはそちらに移動させるという。
「卓上型とはいえ、移動させるのは大変じゃないかと思われるかもしれませんが、作業を始めると何時間も動かないことがあるので、ミシンのそばに持っていってしまうほうが楽なんです。私のような生活スタイルの場合、卓上型にして正解でしたね」
(ケース2)店舗用のもう一台として
石黒哲児さん(仮名)は40歳。家業を継いで食器店を経営しており、ウォーターサーバーは3年ほど前から使っている。
「妻の要望で『信濃湧水』にしました。通常の大きいタイプのサーバーをキッチンに置いてあります。水がおいしいことと、冷水も温水も自在なので同居している両親も喜んで使っています」
日常の飲料水やコーヒーなどに、ウォーターサーバーの水を愛用してきた石黒さん。あるとき、もう一台を店舗に置こうと思いついたそうだ。
「居住空間である母屋と店舗はひと続きなので、水が飲みたければキッチンに行けばいいんですが、お店にもう一台あればいいなと思ったんです。店番はほとんど私一人でやっていますから、水を取りに行くと留守の時間が増えてしまいます。お客さんの不注意で商品の食器を割られてしまったことが何度かあることも、お店をあまり無人にしたくない理由の一つです」
そこで石黒さんは、店舗部に近い場所にウォーターサーバーを追加することを思いついた。
「そのサーバーを使うのは営業時間内の私だけ。水の消費量はたいしたことありません。サーバーのレンタル料は無料なので、妻も快諾してくれました。ただ、通常のサイズだと置き場に困るため卓上型にしました」
ふだんは石黒さんの仕事中に使用される卓上型サーバーだが、大勢の来客などがあったときなどは母屋に持っていって「サブ機」のような使われ方をすることもあるという。
(ケース3)引っ越しが多いため
41歳の古田礼子さんは、ウォーターサーバーを使い始めて5年が経つ。現在は「プレミアムウォーター」の卓上型を使っている。
「実は、最初にウォーターサーバーを導入したときは普通の床置き型を使っていたんです。水の味はおいしいし使い勝手も申し分ありませんでした。でも、長いこと使っているうちに、わが家の場合は夫の仕事の関係で引っ越しが多いため、卓上型のほうがいいのではと考えるようになりました」
古田さんの場合、引っ越しとはいっても他の地方に行くほどではなく、同じ県内で別の市に移る程度のものだったという。しかし、1年以下の短い期間で引っ越しを余儀なくされることもあるとのこと。問題は移動距離ではなく、新居に必ずしもウォーターサーバーが置ける場所を確保することが難しいということだった。
「卓上型ならテーブルの上にも置けますし、家の中で移動させることも簡単です。サーバーは引っ越しのタイミングで一時、メーカーに返却するという方法もありますが、引っ越しの最中のほうが、むしろウォーターサーバーを使いたくなる局面は多いんです。そこで、最終的に今のタイプに落ち着きました」
確かに引っ越しの作業では、荷作りや片付けなど汗をかいたり喉が渇いたりすることは少なくない。引っ越し当日も、飲料水がすぐ手元にあったほうが便利だ。古田さんはそうした経験から、卓上型のサーバーのほうが今では重宝しているという。
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コンパクトな卓上型ウォーターサーバーとはいえ、床置き型と変わりがないか同等の機能を有している。スペースがないという理由だけではなく、家の中で機動力が必要とされる場合なども、卓上型という選択肢はありそうだ。